若狭大飯の謎の道 後編

古道と農道の狭間にあるこの道。
前回は古道、ここからは農道の色が濃くなりそうです。
ちなみに僕はこの時点では福井県道1号の旧道を疑ってはいますが、確率としては五分と見ていました。
理由としてはあまりにも狭すぎるということと、川沿いを進む現道の指定は古くからあってもおかしくは無いという点。
しかし数々の状況を鑑みると県道であった線も捨てきれない。
そんな状況です。
軽トラダブルトラックの農道パートはけっこう長く続きます。
こりゃただの農道かなと思うと次の場面転換が来るから油断ならないのです。

しかし寒いけど気持ちいいなぁ。
敦賀はこの日完全に雪に埋まってましたから。
ちょっと西に来るだけで全く違いますね。
ほらね。
一気に古道モード突入。
この切り替えがたまりません。
今更ではありますが、かつては全線この規模だったんでしょうね。
いい雰囲気です。

入って直ぐに立派な地蔵堂

やはりここはただの農道とは考えにくいです。
木ノ芽古道深坂古道並みに現れる歴史の残滓。
この時点で最悪のパターンである農道に迷い込んだという選択肢は消えました。

読めないけどなんかいい感じの石碑

これはおそらく短歌ですね。
かつてのグレイトハイカーが旅された際に残されたものかと。
このあたりのご出身の直木賞作家、水上勉氏との関連も疑ってしまいますね。
こちらは俳句ですね。
歴史の道として整備すれば、好きな人にはたまらないんじゃないかと思うんですが。
そういう気はないのかな。
そしてここで新しいアンダーパスを潜ります。

若狭西街道(わかさにしかいどう)

広域農道ですがなかなか使える道です。
舞鶴若狭自動車道が開通したので、少しは農道らしくなったかな。
なんか昔の通学路みたいだ・・・。
最近は不審者怖いですが。
僕が子どもの頃なら格好の遊び場になりそうです。

抜けた先にもまた石碑

この頻度はちょっと異常です。
異常というか何か別の意図を感じます。
つまりは道の完成を祝うとかそういうものではないもの。

つまりはウォーキング用の観光石碑

そう思う最大の理由がその内容。
ほとんどが歌碑なんですよね。
お地蔵様はもともとでしょうが、歌碑についてはかなり新しいものだと判断しています。
観光地として売り出そうとしていた時期があったのかも・・・?

近くには水上勉氏の建てた若州一滴文庫という文学系の展示施設があります。
これと関連あるのかも・・・?

かと思えば車道っぽいとこ来た・・・

なんなんだこの一貫性のなさは。
道としては間違いなく一連の流れで続いているのに、道の状態が驚くほどに一貫性がない。
よく言えば上手く使われてますが、悪く言えばぶつ切り状態。
しかしタイヤといい擁壁といい、これは完全に車道ですね。
そしてここで前を歩く古老に遭遇。
正直これは避けようがない状態です。
古老の足取りは当然僕より遅いので、いつかは追いつく。
時折振り返られるその視線が痛い!
そして僕はついにこの交差点で古老とエンカウントしてしまいました。
そしてお決まりの一言
「ここでなにしとるんや」
はい、予想してましたよその一言。
今回はエンカウントから大分時間あったのでQ&Aは完璧です!

僕   「この辺りの古い道を調べていまして、この道もそうじゃないかと思い実地調査しているんです!」
古老 「そや、この辺は山根道(やまねみち)いうてな、山家から本郷に抜ける最短の街道やった道や」


きたーーーー!!

山家(やまが・京都府綾部市の旧山家村)から本郷(ほんごう・おおい町中心部の旧村名)といえば、福井県道1号の旧名「山家本郷線」そのものじゃないか!
これは当たりか。
大当たりか。

僕   「ということはこの道は隣を走ってる福井県道1号の旧道になるってことですか?県道だった時代がある?」
古老 「いや、この道はずっと町道や。」

違ったーーーー!!

半分あたりで半分はずれ。
疑問は半分しか解決されませんでした。
つまりこの道は山根道(やまねみち)という名の古い街道。
山家村と本郷村を繋ぐ最短の街道として、古くから重宝されていた徒歩道だと。

そして県道1号の歴史は大正8年まで遡れますが、恐らくそこまで遡ればこの道が県道として指定されていたのではないでしょうか。
昭和29年に現行の福井県道・京都府道1号小浜綾部線となったあたりで、主要地方道に格上げとなり、現在の位置に道が付け替えられたと考えられます。
逆に言えば福井県道223号の指定もそこまで遡ればあの起点も納得です。
ここに関しては要調査ですが、もう少し調べを進めてみましょう。

なんにせよ、一気に前が開けました。
やはり現地の人の話は素晴らしい!
そしてここまでくればゴールはもう直ぐそこ。
福井県道1号現道です。
振り返ればバイパス新道と疑われる道。
こうしてみると確かにその雰囲気はあります。
そしてここで合流・・・

じゃなかったんですよね。

僕もこの時点ではてっきりここで新旧合流かと思ったんですが、よくよく振り返ればここで合流する意味がないのです。
なぜならきっとこの道が現役の時点では、国道27号はこの場所を通っていなかったから。
国道27号旧道と照らし合わせてみると良くわかります。
この微妙な末端部は、国道27号旧道探索と同時にやる必要がありそうですね。
旧道は芋づる式に色々出てくるパターンが面白いのです。

今回の結論としては、山根道は少なくとも福井県道1号の前身であることは確定。
そして高確率でかなり古い時代(大正~戦前)の旧道でもあると考えます。
そして福井県道223号の謎の起点は、県道223号(若しくはその前身の道)がいつ指定されたかによるのでもう少し机上調査が必要です。

これが今回の仮説。
やはり現地に来ればいろいろわかるのです。
机上調査も大事ですが、まずは動く!
それを大事にしていきます!

以上、若狭大飯の謎の道 改め 山根道編

この道往けば act2

福井県を中心とした。酷道、廃道、旧道、峠、隧道の探索ブログ

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