温見峠 前編
峠
和製漢字であるこの言葉。
以前、「栃ノ木峠」で峠というものを考察してみました。
峠とは狭義で「道が山の鞍部を越えていく地点のこと」
広義では「山の鞍部を越える道の麓から反対側の麓までの道のこと=峠道」
このように結論付けたかと思います。
主に道路趣味者が「峠」といった場合、広義の峠を指す場合が多いです。
逆に山をやってる人等は狭義の場合が多いですね。
なぜ今回こんな復習じみたことを話しているかと言いますと、今回の峠。
酷道界では知らぬ者はいないであろう、超有名峠だからです。
その名は、
温見峠(ぬくみとうげ)
これぞまさしく峠の中の峠。
教科書に出てくるようなイメージ通りの峠。
さぁ、峠をご堪能あれ!
温見峠がある道はれっきとした国道。
国道157号
石川県金沢市を起点とし、岐阜県岐阜市に至る、県庁所在地同士を結ぶ国道らしい国道。
実際この峠区間以外は、片側1車線以上の快走路が続いています。
普通国道の青看板の行き先は、近い都市名が基本です。
ここでは大野市のお隣、本巣市となるべきですが、なぜか大野市内のローカル地名「中島」となっています。
この辺りで、怪しい臭いに気付けたら、あなたは道路趣味者として一人前と言えるでしょう!
市街地を抜けて両白山地の奥地へ突入していく国道157号。
いよいよ土木事務所による「引き返せ!」オーラ全開の看板が登場してきました。
しかしそれでもまだまだ道は立派なもの。
ビビることはありません。
山道の道路と言えばダムサイドロードになるのはよくあることです。
真名川ダム
治水や水力発電に利用される多目的ダムで、九頭竜川水系では超有名な九頭竜ダムに次ぐ大型ダムです。
下から噴き出ているのは・・・、なんかよくわかりませんが間欠泉ではないでしょう。
ただの噴水か、発電関係のものなのか?
ダムマニアの皆さんご教授ください・・・。
だいぶ水位が下がっている真名川ダムが形作る湖。
その名を
麻那姫湖(まなひめこ)
真名川の名の由来ともなった、伝説の姫の名を冠す何とも雅な名を持つ人造湖です。
しかしこの夏、福井県は本当に雨が降らない日が続いていたのでこの渇水具合。
大丈夫、レポ書いてる今だから言えますが、
雨は必ず降るから心配すんな!
麻那姫湖の対岸には何とも興味をそそる道の痕跡が見られます。
カーナビにも表示されてるので、廃道ということはなさそう。
機会があればいっぺん走ってみたいなぁ・・・。
若干白とびしてて申し訳ありません。
ここは福井県側で最後の県道との交差点、福井県道230号大谷秋生大野線(おおたにあきうおおのせん)です。
実はここ今後レポしたいと思っている道でして、僕の知る限り福井県内に終始する県道の中で最も秘境を通る路線だと思っています。
この道にも峠があり、「伊勢峠」という何とも意味ありげな名がついています。
ここにはどうやらトンネルを新設しているようです。
名は「真名峡トンネル」、しかしやはり温見峠の峰を穿つのはまだまだ先の様子。
張り出した岸壁を貫通させての線形改良が目的ですね。
基本的に地質が脆弱なようで、至る所で復旧工事をしている国道157号ですが、道幅が広いおかげで何とか通行が出来ていました。
しかし最後の工事区間を過ぎるといよいよその真価が発揮されだします。
低い!
冬の間のとんでもない積雪によって、圧縮されたおにぎり
12月~5月という長い冬期通行止めも納得の光景です。
道は断続的にヘアピンカーブを伴いながら登っていきます。
しかしこの間、大野市のレポ開始地点国道158号との交差点からここまで既に1時間経過。
ちなみにまだ3分の1も来てませんよ。
いくら写真撮影しながらのんびり走ってるとはいえ、1時間あれば大概の峠は越えています。
これがこの峠が全国区となっている由来でもあるのです。
高原のような場所を通過する国道157号。
いよいよ地名は最終集落「温見」に突入しました。
しかしまだまだ道半ば・・・。
これが温見峠、福井県側の名物
温見ストレート!!!
惚れ惚れするほど真っ直ぐ。
思わずスピードを出してしまいそうですが、当然法定速度は守らねばないりません。
まぁ人は飛び出してくることはないでしょうが、他のところの数倍の確率で野生動物が飛び出してきます。
ん?ここはなんだろう?
何か作業してる人がいる。
温見ストレートは実はかつてそこにあった「温見集落」の名残です。
つまり現時点で温見に常住集落はないものと思ってたんですが・・・。
作業がお忙しそうだったので、疑問をぶつけられませんでした。
温見川が少しずつ低くなってきます。
そしてなぜか低くなると同時に、転落を防ぐものがいかにも脆そうなコンクリートブロックになります。
いくつか谷を越えて道はぐんぐん高度を上げていきます。
そして僕はこれから走る道の施工に驚きました。
まさかの石垣!!
いまどき国道で足下のアスファルトの下が、石垣って道はそうそうないと思われます。
しかもこの規模!
積み上げた土木工の皆様の苦労を思い、感謝の気持ちで走らせていただきます。
そして見下ろす美しいⅤ字谷。
遥かかなたになってしまった大野市の町並み。
そして足下に蠢く貧弱な道。
どれも全てが愛おしい光景です。
温見峠、着。
標高はこのブログ始まって以来、初の大台到達。
1,020m
我が町敦賀市の最高標高地点、野坂岳の914mを越えちゃってます。
そしてこの時点で1時間半が経過。
ルート通りにいけば、同じくらいの時間で本巣の街に下れるはずです。
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