第2次京都遠征第6弾 深見隧道 後編
ドクン・・・
前編最後のこの場所。
僕はこの時心臓が高鳴ったのをよく覚えています。
廃隧道との巡り合いではいつも多かれ少なかれドキドキするもんですが、このファーストインパクトは強烈でした。
白線1本隔てた生と死の世界。
それがこれほど明確に、けれども絶対的に隔絶されているのです。
生あるものを拒絶するかのような高さ制限バー
しかしどことなく美しい。
そうだよ。
こういう景色が好きだから始めたんだよ、この趣味。
遺された者たちの怨嗟はなぜこうも美しいのでしょうか。
死んでいるものは隧道だけではありません。
道に付属する者たちもみな鏖殺されています。
ここではおにぎりまでもが死んでいます。
もちろん事前情報で知ってはいましたが、やはり衝撃的。
廃道の華、遺留おにぎりが無造作に打ち捨てられているとは・・・。
隧道までの短い区間ではありますが、この廃道を最も象徴的に示しているシーンかも知れません。
全てを飲み込むような闇。
その引力に抗えず、僕は底に近づいていきました。
深見隧道(ふかみずいどう)
1946年竣工、延長538m。
和暦で言うなら昭和21年、コンクリート製ながらもピラスターや笠石状の装飾がみられる、大正から昭和にかけての隧道とマッチしています。
ぶれた写真をみると・・・、
なんか地面から吹き上がってる!!!
完全なる闇。
それもそのはず、この隧道は閉塞隧道なのです。
中間地点付近で人工的に土砂によって封殺されています。
それがこの闇を生み出しているのです。
今日はライト1本しか持ってないので突入は断念します。
もし中間部で電池切れたらたぶん発狂する。
それでも引き寄せられるように内部に歩いてたから恐ろしい・・・。
これが廃隧道の魔力か・・・。
フラッシュをたいて撮影していますが、肉眼ではこの時点で周囲はかなり暗くなっています。
闇に取り込まれるところだったのかも・・・。
引き返そう。
こっちが僕の世界。
隧道も含め、古来から闇を生む洞窟は、異世界への入り口でした。
有名なものでは黄泉比良坂(よもつひらさか)がありますね。
色んな隧道を見てきましたが、この隧道は特にその気配が濃いように感じました。
帰宅後調べたら、この隧道怪談話が多いそうですね。
お化けは信じない方ですが、そんな話が出るのもわかる雰囲気がありました。
おそらく国道時代から残る唯一の生存者が隧道脇にいました。
一見すると見落としそうですが・・・。
間違いなく国道時代の遺物。
彼が何を見てきたのか・・・。
それは誰にも知ることはかなわないでしょう。
今後も末永く、生き証人として残ってほしいものです。
これが現道の深見トンネル。
快適な道の陰には、消された道がある。
そのことを深く感じた今回の探索でした。
北側はまた、じっくりと訪れたいと思います。
ライトを持って・・・。
以上、第2次京都遠征第6弾 深見隧道編
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