旧北陸本線暗渠群 罠山谷に眠りし者編

今回の探索はあまりに写真の出来が悪すぎるということで、追加探索を決行してきました!
前回では行けなかった場所も回ってきたので、急遽、長編に変更します!


大丈夫。
ここでは冗長になんてなりえません。
それでは続きをどうぞ!
大桐第3暗渠を確認した僕は、山中隧道を使って一気に敦賀市に突入します。
南越前町側の当該区間の暗渠はこれでお仕舞い。
残りは敦賀市側ということになります。

大桐第3暗渠から、山中隧道、伊良谷隧道、芦谷隧道、曲谷隧道、第1第2観音寺隧道と6本の隧道を越えた先、杉津駅跡に至る手前。
非常に長い築堤による直線が見えてきます。

ここに敦賀市最初にして、この暗渠群の象徴ともいえるものが眠っているのです。
地図上で示すならここ。
先述の3つの暗渠よりかなり離れた場所にありますが、その間はそもそも隧道連発地帯の為、暗渠が入り込む余裕がないというのが正直なところ。
築堤あっての暗渠ですからね。

とは言ってもかなり長いこの築堤。
竹鼻川(たけはながわ)が形作る罠山谷(わなやまだに)の中央を埋めて築かれています。
つまりはその竹鼻川が築堤を通過する地点にこそ、暗渠があってしかるべき。
水音を探せ!
実はこの日、このあと1件お仕事がありましてタイムリミットが迫っていたのです。
そこで僕は周囲の確認もせず直降しました。
薮と灌木にはじかれながら・・・。


しかしよくよく見てみると、道はあったのです。

ここからは後日探索した写真も交えてレポします!

わっかりやすいなおい。

前回探索時なぜこれに気づかなかったのか。
まぁ接続地点がかなり敦賀よりにあったということが大きいですが、下った先の状況も影響でかいかと。
まぁその辺は後々わかります。

急勾配ではありますが、比較的楽な道です。
なんせ無理やり降りたときは・・・、
こんなとこやら・・・

こんなとこやら・・・。

ちなみに写真の角度は水平ですよ。

傾いているの地面の方ですからね。

歩きやすい坂道を下っていくと、灌木地帯に突入です。

これによって見にくくなっているというのはありますね。

お、わらびかな。

いや、ぜんまいか。

春の探索ではサンサイストの皆様とエンカウントしがちですが、こいつは無事生き残っているようです。

僕の目的はこいつじゃないしね。

ここまでの道はジムニーなどの軽の四駆なら車でも侵入できそうでしたが、ここまでくるともう無理ですね。

軽く乗り越えさせていただきます。

道との位置関係はこんな感じです。

近く見えるんですけどねぇ。

夕暮れの時間帯はやっぱり危険です。

あー、こっちから見るとわからんわ。

道の存在をうまいこと隠しています。

分かっちゃえばいい目印ですけどね。

さて、そろそろ皆さんから罵声を浴びせられそうですね。

早く見せやがれと

ごもっともです。

いやしかしもったいぶりたくもなるんですよ。


罠山谷の盟主。

ご覧あれ。

罠山谷暗渠(わなやまだにあんきょ)

これが今回の旧北陸本線遺産群の中に暗渠で唯一食い込んだ御大です。

この堂々たる姿。

とても暗渠と一口で言ってしまうのがもったいない。

竹鼻川を吸い込むその姿はまさに現役そのもの。

感動すら覚える姿です。

もっと近づいてみるとしましょう・

そしてこの暗渠の最大の特徴が見えています。

皆さんももうお気づきでしょう。

人水共用暗渠!

人だけ、水だけのレンガ暗渠は数少ないながら全国にあります。

しかし共用となるとその数はガクッと落ちます。

逆に最近作られたものならめっちゃ多いんですけどね。


しかも暗渠なのに開渠という矛盾も披露してるこの素敵さ。

突っ込み所満載です。

水を集める仕組みとして斜面上からウォータースライダーが作られてました。

ここ滑ったら楽しそうだけどけつがなくなるな。

かなりの急勾配です。

石積みとレンガを組み合わせたポータル。

しかもこの積み方は「ブラフ積み」と呼ばれるレアな積み方です。

ブラフ積みは横浜のものが有名ですが、まさか敦賀にもあったとは。

積み方としてはレンガ積みでいう「フランドル積み」に相当します。

築堤を潜る穴ですから当然それほど土かぶりはありません。

力学的には土かぶりが少なければ少ないほど、アーチは不安定となりやすい。

そこでいくならこの頑強さは特筆に値しますね。

それでは、いざ入洞

暗渠の前はかなり荒れてましたが、洞内は落ち着いています。

歩道部分に乗っている石はもしかしたら増水時に、歩道に溢れた痕跡でしょうか。

なんにせよ、安心感が凄いです。

上流側を振り返ります。

うん、いい絵だ。

反対側にも期待が高まります。

そして気づく違和感。

皆さんも感じ取ったのではないでしょうか。

出口でっか!!!

普通の隧道だと勾配があっても隧道の高さ自体は変わりませんが、ここでは勾配に合わせて隧道株のみが下がっていっているためこういう現象が起こっています。

隧道天井部分は推定で、底部のみが下がっていっているということですね。

しかしこっちから見ると威圧感凄いな。

ちなみに隧道内の道は保守道ではなく、ちゃんと麓まで続いているようです。

この道もいずれじっくり歩いてみたいですね。

ちにみにこんな道です。

オフロードとして結構上質じゃないですか?

自転車やバイクでも楽しそう・・・。

なんか遺構もありそうですしね。

奥の石垣っぽいの怪しいなぁ。

ちゃんと見てみたいわぁ。

この水抜き穴を作るだけでも相当な苦労がかかっています。

こういう小さな業にこそ本物を見ることができますね。

罠山谷に眠りし者。

それは北陸の大動脈を陰で支えた偉大な御大でした。

そしてそんな者たちは、いまだ日陰に埋もれているのです。

白日のもとへ!

この道往けば act2

福井県を中心とした。酷道、廃道、旧道、峠、隧道の探索ブログ

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