中池見の古橋

中池見湿原(なかいけみしつげん)

ラムサール条約登録湿地であり、国内でも稀な50mもの泥炭層を持つ湿地。
袋状堆積谷という特殊な地形が生み出したモザイク状の生態系は、固有種、絶滅危惧種を含む多彩さを有しています。
ここはもともと人の手が入っていた湿原でした。
かつては杉の巨木が生い茂る森でしたが、江戸時代には開墾され、現在のような開けた姿になりました。
その後の減反政策で放置され、多様な植物の生い茂る湿原へと変化し、現在に至っています。

一部は観光地として公開されていますが、奥地にはあまり人が入らないエリアがあり、ありのままの自然が残されています。
そしてそこに残されている道。
この道は開墾された当時から残されている道が今なお使われています。
つまりこの道は、

江戸時代の道

ということになりますよね。

そしてそこに残されていたのが今回紹介する物件。
それではレポスタート!

今回はいきなり登場!!

いや、実は本職のイベントの関係で訪れた関係上、あまり写真を撮る時間が無かったのです。
うちの娘ちゃん2度目の登場
娘と比較してもそれほど大きな橋ではないことが分かってもらえるかと思います。

木橋

見てのとおり木橋です。
木橋は当然、劣化が早いので土台を残してどんどんかけ替えられる利点があります。
この不揃い感が堪りませんね。
そして中池見の古老から興味深いお話が聞けました。

「この橋の木材は北陸本線が移設されたときに、枕木をもらったんや」


枕木だと!!

言われてみれば確かに・・・。
けど枕木ってこんな不揃いだったっけ??
まぁ本人が言うならそうなんでしょう・・・。
いい余生を送ってらっしゃいます。
まぁ他の鉄道関係の木材なのかもしれませんしね。
しかし枕木とは言ってもせいぜい53年前のもの。
・・・結構古いやないか。
しかしさらなる重鎮はその足元にいらっしゃいます。

石積みの橋台!!

4月の晴天のこの日、強烈な日光によって橋の下は暗がりになっていてなかなか写せません。
こいつは試行錯誤せねばなるまい。

野面積み(のづらづみ)

もっとも原始的な方法で積まれる石積みであり、石を整形せず角が合うように積み上げる方法です。
谷積みなどと違い隙間が多いのですが、その分排水性に優れているので湿地帯には有効な積み方と言えるでしょう。
こちらから見ると苔やら蔦やらで橋台の位置すらはっきりしませんね。
それだけ歴史があるということがよくわかります。
そして気づく、橋の下に自然木が渡されている。

なんだこれ??

古老曰く・・・

あ、それ?

つっかえ棒や


・・・原始的!!!

要するに浮いてきた石をつっかえ棒で支えているんだとか。
こういう古い橋では比較的よくあることなのか??
江戸時代からここにかかり続ける橋。
木の芽川の支流(中池見湿地から流出する河川の一つ)であり、樫曲へ続く谷へのアクセスを担っていた重要な橋です。

幹線道路ではない。
けれど生活道路として、僕がこれまで見てきたどの橋よりも古い橋台を残している。
それが僕にはたまらなく、いとおしく思えました。
できることなら末永く、いつまでも・・・。

以上、中池見の古橋編

この道往けば act2

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