旧北陸本線隧道群 後編

前回思わぬ発見をもたらしてくれた山中隧道。

しかし今回のレポはここで終了ではないのです。

後編ではここから先、敦賀側の状況をレポします!


水滴滴る山中隧道をくぐり抜け、いざ!

隧道祭り開催!!

山中隧道を抜けるとすぐに次の隧道が見えてきます。

ここからは息もつかせぬ連続隧道区間!

飛ばしていきます!

伊良谷隧道(いらたにずいどう)

相変わらず植物たちとのコラボが美しい。

山中隧道にはなかった扁額がありますね。

洞内は煉瓦巻きの個所と鉄筋補助巻きの個所が交互に続く独特の雰囲気。

この施工は今後現れる隧道たちにも共通する特徴でした。

やっぱり強度の問題ですかね。


さらにここには山中隧道には設置されていなかった、

交互通行用の信号機が設置されています。

長い上に内部で屈曲している為でしょうか。

有名な柳ヶ瀬隧道を彷彿させますね。

じゃあ次行ってみよう!

芦谷隧道(あしやずいどう)

非常に短い隧道で、もう向こうに次の隧道が見えています。

こういう光景が鉄道隧道ならではって感じがしますね。

そしてその芦谷隧道の奥にに見えていたのがこいつ。

曲谷隧道(まがりだにずいどう)

名は体を表すといいますが、まさにその通り。

曲がってます。


しかしこの曲谷隧道も短い隧道なので、

先は見通せませんが信号は設置されていません。

曲谷隧道を抜けると突然景色が開けます。

そして現れた砂防ダム。


僕のような旧道探索者にとって最も嫌われる土木設備です。

こいつが設置されると旧道の痕跡や遺構などは根こそぎ泥と砂の海に沈められてしまうのです。

道路の安全のためには仕方ないとはいえ、

人間がここまで自然を押し籠めていいものか。

懐疑の念を禁じえません。

砂防ダムのそばに辛うじて生きながらえた沢。

恐らく砂防ダムに姿を変えた本沢の支流でしょう。

親の無念を受けて暴走しないことを願います。


そしてその暴走の被害を受けない為に、ちゃんと先人たちは考えていたのです

足元の世界へはこちらから!

そしてその沢のすぐ隣に佇むのが

第二観音寺隧道(だいにかんのんじずいどう)


僕の感性ではここのポータルが一番好きでした。

ポータルとは表玄関、つまり隧道の顔のこと。

風化しつつもそれすら魅力に変える力。

明治生まれならではの風格があります。

第二があれば当然、第一もあります。

第一観音寺隧道

ちなみにこれだけ隧道が連続しているにもかかわらず、

番号分けされているのはこの「観音寺隧道」のみです。

こういう名付けを手間取らない姿勢、生みだしたものへの責任感が良いのです。

ここはあまりに近すぎて良い名が無かったのかな(汗。

しかし植物の生命力ってすごいですね。

煉瓦を突き破って隧道内で成長しています。

彼らの根が完全に隧道の裏へはびこった時、この隧道は崩落するんでしょう。

懸命に根を伸ばした彼らとともに・・・。

さてここで隧道祭りは中休みです。

もう飽きた?

いえいえ・・・、

まだまだ続きますよ(笑)

そろそろコメントのネタが尽きてきた・・・

ここで長らく共に走ってきた県道207号と別れます。

県道を直進すると国道8号に出る事が出来るので、

こちらから走ってくる車も何台か見られました。


ただ勘違いされてる方も多いですが、

北陸本線をトレースしようと思ったらここを左折しなければなりません。

北陸自動車道杉津パーキングエリアを横目に曲がると・・・。

ここが北陸本線跡地であることを示すように現れました。

曽路地谷隧道(そろじたにずいどう)


結論から言うと・・・この隧道が一番・・・、

怖い

おそらく舗装して注意喚起板を設置した以外は当時のままのお姿。

長い、狭い、暗い(照明ないんだよ)、さらに屈曲!

ついでに言うなら隧道前に朽ちた竹ってのは不気味すぎる!


この隧道群の盟主ともいえる山中隧道と並んで、怪談話が後を絶たない隧道なんだそうです。

まぁそりゃあそんな話も出るでしょうよ・・・。

そしてドキドキしながら通過した曽路地谷隧道を抜けると、なんかホッとするお姿。

鮒ヶ谷隧道(ふながたにずいどう)

先ほどの曽路地谷隧道によって尾根を越えたので、

ここからは多少景色が変わります。

人里が近い雰囲気。

山中と言うよりは里山の中と言った感じがします。

いよいよ敦賀駅が近づいてきたかなというタイミングで現れたのが

葉原隧道(はばらずいどう)

この葉原隧道の特徴はなんといってもこの交互交通用信号。

待ち時間は驚愕の5分!


僕は信号変わった直後に着いちゃったので5分間待ちましたが、

通過した車は0台。

・・・無意味な時間を過ごした・・・。

隧道内部は相変わらず、石、煉瓦、鉄筋のコンビネーションで固められていました。

そしてこの葉原隧道には市道化してから初めての照明が!

嬉しい!


そしてこの葉原隧道を抜けた直後に、葉原信号場がありました。

用途は前編でもお話したとおり交互運行のためです。


ここで皆様に謝らなくてはならないことがありまして、

前回の流れで行くならば、

今庄-南今庄-大桐-山中信号場-葉原信号場

となるはずです。


しかしこのブログを読んでくれたT氏からの情報により誤りが発覚。

実は南今庄駅は今回紹介している旧北陸本線区間が廃止された後にできた、いわば大桐駅の新駅だったということが発覚したのです!


つまり旧北陸本線を正しくなぞるなら

今庄-大桐-山中信号場-杉津駅ー葉原信号場


これが正解です。

道理でなぁ。

駅間が近すぎるとは思ったんだよ(負け惜しみ)

なにもありませんでしたが、これで一応

今庄-大桐-山中信号場-杉津駅ー葉原信号場

ここまで辿ることが出来ました。

いよいよラストスパート!

ここで道路は突然の急カーブ。

この線形は廃線跡としてはあり得ません。

それもそのはず、このまま進むと国道476号のバイパスに進路を奪われてしまうのです。

そこで道路は忠実なトレースを諦め、バイパスと合流する為にこのような無茶な形になったと想像されます。

国道476号との合流地点には控えめにこの先が旧北陸本線跡であることを示す、

案内板が設置されていました。

ちなみに裏にはこの奥の道が「木ノ芽峠」へ至る道であることを示す案内板が貼られています。

そしてこの快走路。

400番台とはいえ流石国道!といった感じです。

いつもは馬鹿にしてごめんね。

ここは福井県道209号五幡新保停車場線の交差点。

そう、あのウツロギ峠の県道です。


この福井県道209号は駅の無い停車場線として(一部で)有名でして、

その理由が北陸トンネル開通によるものでした。

つまりこの辺りにかつて新保駅があったということ。

これには記念碑も残っていますが、写真を撮り忘れましたorz。


今庄-大桐-山中信号場-杉津ー葉原信号場-新保

かなり線形がはっきり見えてきましたね。

唐突に現代風なトンネルが、

獺河内トンネル(うそごうちトンネル)

これも一応は旧線跡の一つ。

獺河内隧道が拡張されたものです。

現役国道という手前、いた仕方ないですね。

これこれ。

やっぱ廃線隧道はこうでなくちゃ。

え?なんかおかしくないかって?

振り返ってみろ?

ばれましたか(汗。

樫曲隧道(かしまがりずいどう)

今は歩道化されてなんかお洒落な街頭までつけられちゃってます(笑。

観光地化されてしまった可哀そうな樫曲隧道を抜けると北陸トンネルの入り口が見えてきます。

この辺りに深山信号場があったはずなんですが、その痕跡は完全に失われています。


今庄-大桐-山中信号場-杉津ー葉原信号場-新保-深山信号場

いよいよこれで残すは合流地点のみ。

長い旅も終りに近づきます。

左から現在の北陸本線が接近してきて、このレポに終わりを告げていきました。

ここが新旧合流地点。


ただ僕には一つ心残りがありました。

以前頂いた情報の中に、

深山信号場と敦賀駅もしくは新保駅の間に

もう一つ隧道があった

という情報です。


もしこれが事実なら、まさに幻の12個目の隧道と言うことになるのですが、

マジかガセかも分からない状況。

事実は追って報告します!


お楽しみに!

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