百瀬川隧道
隧道やトンネルとは何を目的にして掘られるのか。
それは主に峰を越すということを目的にしています。
谷に張り出すような地形であったり、半島を大回りしなければいけないよう地形をショートカットしたり。
それが隧道の主たる掘削目的です。
しかし今回紹介する隧道はそのどちらでもない理由で掘られています。
まさに土地柄というべき理由で掘られた隧道、その名は、
百瀬川隧道(ももせがわずいどう)
それではレポスタート!
この路線名、非常にややこしい点が2つありまして。
まず読み方「小荒路」は「こあれじ」ではなく、「こあらじ」と読むのが正解。
なんかオーストラリアンな漢字がするのは僕だけでしょうか?
さらにもう1つは経由地。
普通、路線名は「起点」「終点」の順で名付けられます。
例を出すなら、滋賀県道533号「白谷(起点)」「野口(終点)」線という感じです。
ここも一見「小荒路(起点)牧野沢(終点)」線というふうに捉えそうですが、この路線名は経由地を含んだものなのです。
一般的に直線的に目的地に向かわない県道に多いのですが、この県道もそれにあたりまして、本来は滋賀県道287号「小荒路(起点)牧野(経由地)沢(終点)」線となっているのです。
最期が「沢」って地名だからややこしいってだけっちゃそうなんですが。
同じような路線名には馬背峠編で登場した福井県道33号佐田(起点)竹波(経由地)敦賀(終点)線があります。
この県道はほんの一部を除いて立派な快走路です。
田舎道ではありますが、十分に県道としての「格」を有しています。
遠くに見えているのは「マキノ高原スキー場」。
冬場はアクセス路としてこの県道が賑わうこととなります。
そしてここが例にも出した県道533号白谷野口線との交差点。
この先の在原集落はまた訪れたい素敵ポイントです。
先ほど見えたマキノ高原スキー場の入り口を過ぎると、田舎道が生活道路に変化します。
なんかごちゃごちゃしてきてやだなぁとか思いながら走っていると・・・、
美しい!!
突然過ぎて一瞬驚きましたが、これは近隣では非常に有名な並木道でして、2.4kmにわたって直線的に「メタコセイア」という木が植えられているのです。
なんか冬ソナ(ネタ古い?)みたいだ・・・。
今回のレポは国際色豊かです。
メタコセイア並み木はこの先、市道となって続いていますが、県道287号は唐突に左に折れます。
ここは案内すらなかったトレース失敗フラグなポイントです。
まぁ普通は直進しますよ。
直進したってどうせ県道終点の国道161号にぶつかるんだから。
元も子もないこと言ってたらいよいよ軒先険道の臭いがしてきました。
中央線消えてるしなぁ。
いよいよゴールも近いし、そろそろ・・・。
百瀬川隧道
大正14年竣工の御大です。
ここまでの道並みを見て、本当にこの路線に隧道なんてあるの?と思ったことでしょう。
またこの隧道の写真を見ても、これ隧道じゃなくて暗渠なんじゃないの?と思った人もいることでしょう。
それこそがこの隧道の最大の特徴。
まぁ隧道の名前で気付いた人、知っていた人も多いでしょうが、この隧道実は・・・、
川を越える為に掘られた隧道なのです!!
天井川というものを皆さんは覚えているでしょうか?
川床の標高がその両岸の標高よりも高い川のことをそう呼びます。(確か地理で習ったはず)
人工物と平面交差するのが暗渠。
自然物と交差するのが隧道。
永い間の土砂の蓄積によってどんどん川の高さが上がっていき、最終的に天井川となるのですが、見てのとおり、この日はほとんど水面は見れませんでした。
ここは隧道直上の様子ですが、何ら変わった様子はありませんでした。
さて、隧道の素性も分かったところで隧道をじっくり堪能しましょう。
大正生まれらしい、コンクリートのポータル。
お飾りのアーチがちょっと気に食わないとこではありますが、まぁそれも大正時代ならではの「おイタ」といったところでしょう。
そしてこの隧道には歩行者用隧道が掘られているのですが、これがまた変。
めっちゃ丸い。そして狭い。さらに低い。
車道が現在キャパいっぱいなので、後世に掘られたであろう歩行者用隧道。
なんにせよこちらも年季はそこそこに入っている様子。
170cmという日本人男性の平均身長を持つ僕が直立するとこんな感じになります。
間違いなく180cm以上の身長を持つ人なら頭ぶつけます。
しかし歩行者用とはいえ、まさかの立ったまま通れない現役隧道!!
さすが滋賀県道!やってくれる!!
隧道を抜けるとそこはもう終点、国道161号との交差点です。
国道161号を起点として、マキノ町内を経由し国道161号に帰ってくる。
まさに名が体を表している県道でした。
しかし滋賀県の県道は一筋縄でいかない奴が多いな。
いつか絶対、滋賀県険道巡り遠征するぞ!
以上、百瀬川隧道編
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