稗田峠

福井県大野市(おおのし)

福井県内の自治体で最も東に位置していて、全国有数の豪雪地帯として知られる街です。

このブログでは初登場となる大野市ですが、ここまで取り上げられなかった最大の理由はその遠さ。

敦賀市からではどう頑張っても1時間半近くかかるうえ、直接繋がる国道476号は「魚見坂編」でお話しした通り、段ヶ岳峠(だんがだけとうげ・レポ未)で分断されているのです。

ちなみに迂回路はあの福井県道203号・・・。


今回スタート地点となる池田町においても、これから走る道が唯一、直接大野市に入ることが許される道。

他は悲しいかな福井市を経由しないと入ることができません。

大野、池田、両自治体の生命線ともいえる道の名は・・・、

福井県道34号松ヶ谷宝慶寺大野線

(まつがたにほうきょうじおおのせん)

ここも「百瀬川隧道編」で紹介した、経由地を含む路線名の道路ですね。

僕の感覚では主要地方道(1~2ケタナンバーの県道、エリートです)に多い気がします。


それでは、

レポスタート!

ここは国道476号、池田町側の起点となる場所です。

国道476号の交差点、付近の青看板には「この先大型車通行不能」の文字がありましたが、なかなかどうして。

そんな雰囲気は感じない、主要地方道らしい堂々とした交差点です。

しかしやはり先細りは時間の問題の様子。

しつこいほどに「この先大型車は通れないよ!」というアピールをしてきます。

今は片側1車線の快走路ですが。

はい。

きました。

狭窄ですね。


しかしなかなかの勢いの幅員減少。

蛍光板の矢印がなかったら、間違いなく草むらに突っこむでしょう。

道は断続的に広くなったり狭くなったりを繰り返します。

広い所ではご覧のようなスノーシェッドも設置されていますので、この辺りではまだちょっとあんまりな主要地方道程度の認識です。

まぁ奇しくも同じ路線番号である滋賀県道34号も強烈でしたし、この時点ではさしたる悪路とはいえないのでご安心を。

見どころはまだまだ先にあるのです。

最終有人集落である大本を越えると、いよいよメッキがはがれていく福井県道34号。

この道、池田、大野間唯一の道であるにもかかわらず、冬期通行止め措置が取られています。

そしてこの写真の地点こそ冬期通行止めが採られる場所、好きな方はご存じでしょうが、大抵の場合冬期通行止めがなされる先こそがその道本来の姿であることが多いのです。

そしてその先にあるものと言えば、もう一つしかありません。


稗田峠(ひえだとうげ)

福井県道34号の全てと言っても過言ではない、大野市と池田町の境に聳える峠です。

さぁこっからが本番!

若干ぶれた写真ですいません。

隣に流れるのは部子川(へこがわ)、この川が今後この道の命運を左右するのです。

その部子川にへばりつく、貧弱な道が福井県道34号。

僕のカーナビさんはこの時点で、県道の証である緑のラインを白のライン(里道級)までランクダウンしていました(汗。

間違いなく県道なんですけどね、この道・・・。

冬期通行止め区間の最初こそ酷いもんでしたが、そこは主要地方道。

すぐに威厳を取り戻します。


なにより、この道最大の見せ場がもうすぐそこまで近づいているのですから・・・。

僕が福井県の数ある景勝地の中で、最も美しいと思う光景。

是非ご覧あれ!

龍 双 ヶ 滝

日本百名瀑の一つであり、福井県では唯一の選出の名瀑。

60mの落差を幾重にも分岐しながら、流れ落ちるその姿は女性的と称される分岐瀑の中でも有数の美しさ。


県内での知名度があまりに低いのが残念でなりませんが、

僕は東尋坊や三方五湖等数ある景勝地を抑えて、

龍双ヶ滝こそ福井県内で最も美しい景勝地だと思っております!

この瀧最大の見ごろはなんといっても晩秋。

紅葉の季節こそがこの滝の旬です。


紅葉の赤。常緑樹の緑。そして滝の白。

自然が生み出した芸術作品がそこにあります。

皆さんも福井にお越しの際は是非お越しください。

ここまでなら大した悪路ではありませんし、池田に戻るだけならそれほど時間もかかりません。

そしてこの滝、最大の利点は県道34号から滝までわずか10m!

百名瀑の中でこれほど、県道と近い滝はそうそうありません。

三重県の赤目四十八滝などは駐車場から滝まで5時間という苦労をしなければならないのに比べ、ここはその気になれば車窓から滝が楽しめるというお手軽さです。

滝を過ぎても道は続きます。

しかしやはり滝でUターンする人が多いようで、交通量、道のレベル共にガクッと落ちます。


僕のカーナビさんはこのあたりでついに道が消え去りました。

それでもここは主要地方道!

順調に林道化してきた!!

これはもう完全に良く出来た林道レベルの道。

「舗装はしたのであとはご自由にどうぞ♪」

そんな投げやり感が漂っています。

標高が上がってくると最近施工し直した形跡のある法面が出てきました。

そして線形が明らかに変わりました。登る意欲満々のヘアピンカーブ!

ヘアピンカーブマニアとしては堪りませんね。

稗田峠着。

標高640m。

宝慶寺峠(ほうきょうじとうげ)、普聞峠(ふげんとうげ)、巡見坂(じゅんけんさか)の別名を持つ、歴史ある峠です。


峠はあいにくの雨ということもあり展望には優れませんが、峠独特の空気が変わる雰囲気は十二分に持っています。

探してみましたがお地蔵さまは見当たりませんでした。

僕の場合、栃ノ木峠の例もありますんで(汗)、もし現存していたら教えてください!

池田町側より若干開けた感じのする大野側。

大野市側の山林は、曹洞宗第二道場であり、峠の別名の由来ともなっている宝慶寺の裏山、修行場となっていて、由来するものが多くあります。


特に沿線にあるのは「座禅岩」の石碑。

なんでも宝慶寺開山の寂円禅師が18年もの間、座禅したとされる岩だそうです。

尻が岩になりそう・・・。

大本の集落以来、久々の交差点に遭遇。

左は宝慶寺の境内、右が県道であり、同寺院の参道です。


しかし微妙にわかりにくいこの交差点。

ヒントは左の「宝慶寺」の石碑とさりげなく右カーブする白線でしょうか。

この辺りからようやく僕のカーナビさんは、この道を県道と再認識してくれました(笑。

参道らしく杉の巨木に囲まれた県道34号。

囲まれたというより、杉の間を強引に下ってるという感じですね。

しかしあの杉の木を巻くようなヘアピンカーブは最高過ぎる!

参道区間が終われば、そこはさも当然のように普通の主要地方道。

このしらじらしさが酷道、険道に惹かれる一つの魅力かも。

そして終点間際に何の気なしに見た標識の地名が衝撃的でした。


阿難祖地頭方

読めねぇ!!

こいつはレベル高い難読地名だ!

「塩坂越」まではいかないまでも、普通に読んでも外れそうだぞ。


正解は・・・、

「あどそじとうほう」


「ど」の辺りが難しいですね。

しかし郵便物出すのに苦労しそうな名前だ・・・。

そしてついにゴール!

国道158号との交差点。

直進は地図では市道なのに、なぜか福井県道240号本郷大野線のヘキサが立っている謎の道。

こいつは素性が読めない。

お前は誰なんだ!


しかしここで悲しいお知らせが・・・。

この道近い将来、ダム湖の底に沈み無ことになるかもしれません。

現在、2004年の福井豪雨で経験した洪水対策の為に、先に登場した部子川に「足羽川ダム」を建設する計画が進んでいるのです。

しかし洪水の経験から、反対する人も少なく、恐らく建設される見通しのようです。

水位調節用の穴あきダムなので常時貯水するわけじゃないようですが、いつ沈むか分からないところに主要地方道を通しておくとも考えにくく、やはり掛け替えの公算が大きいようです。


ちなみに龍双ヶ滝までは水没しないようなので、僕は一安心でした。

マジでよかった・・・。

当ブログとして初めて降り立った、大野市の地ではありますが。

実は僕はすぐにここを旅立たねばならないのです。

その理由は、福井県の峠の中で最も有名なあの峠に挑む為!


ひとまず今回はこれにて、稗田峠編

この道往けば act2

福井県を中心とした。酷道、廃道、旧道、峠、隧道の探索ブログ

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