滋賀県道285号中河内木之本線 忘らるる村編
前回紹介したこの看板。
丹生ダムはこの周辺にバイパス並みに立派な道を生み出しました。
全国最大級の多目的ダムとして建設が予定されたこのダムは、林業や農業がメインの収入だった高時川上流地域の人々に「ダム湖観光」という新たな収入源をもたらすはずでした。
しかし今もなお、ダムは造られず道は宙ぶらりんなまま・・・。
そしてこのダム計画が生み出したのは道だけではありませんでした。
ここからはダムが完成いた場合には喫水域に入る地域に突入します。
つまりここまでのダムへのアクセス路のように道が改善されているとは考えられない部分。
県道285号の真骨頂です!!
しばらく行くとこのような小道が分かれます。
これこそが先ほどのダム開発によって生まれたもう一つのものなのです。
生まれたというより、死んだと言った方が正解かもしれません。
廃村 小原(おはら)
平成7年に全村民が離村した集落跡です。
先ほどの道は林道ではなく集落道路。
離村した理由はもちろん丹生ダム。
離村したにもかかわらず、そこにダムはできない。
地域、そして下流域の人々の為に泣く泣く故郷を離れた人たちはこの光景を見て何を思うのでしょうか?
18年の月日は家や畑を自然に帰すには十分な時間でした。
しかし家の基礎として組まれた堅牢な石垣だけは、その時を今に伝えています。
廃道とはまた違う廃村の景色。
人の気配がより濃い空気感が切なさを一層煽りました。
よし、先に進もう。
しばらく進むと、道路脇に大穴があいてました。
既に若干フラフラなんだからこういうトラップやめてくれよ!
いちおう現役県道だろ!!
山からは湧水があり、ところどころこのように濡れている個所があります。
油断すると滑るので注意が必要な場面ですね。
既に苔も生えていました。
つうかかなり水分が不安になってきた・・・。
ペットボトルに残り半分・・・、日差しは梢が遮ってくれますがこの暑さ・・・。
ヤバいかな・・・?
ここで再び通行規制看板が登場します。
なんで突然?
と思われるかもしれませんが右を見れば、・・・なんとなくその疑問は解決されます。
田戸橋(たどばし)
これは県道ではありません。
そう、旧道で予告されていた奥川並(おくこうなみ)集落へ続く市道です。
通行止め規制が「長浜市」なのが、その証拠ですね。
・・・そっか、ここも長浜なんだな・・・。
旧町域で言うと余呉町にあたる場所です。
そしてこの先にあるのが、丹生ダム水没集落の中で最奥の廃村、奥川並。
ここは丹生ダムの建設によって離村したわけではなく、そのあまりの交通不便によって離村を決意した村です。
昭和44年をもって全員離村したこの村、今では辿りつくことすら困難になっております。
そしてこの地点には別の廃村も・・・、
廃村 田戸(たど)
夏草に埋もれたこの平場にかつてどれだけの人が暮らしていたのでしょうか?
この葛の海の中、人跡を見いだすのはもはや困難な状況です。
ここは丹生ダム建設により、小原と同じく平成7年に離村した新しい廃村ですが、自然の力は書くも力強く人の力を凌駕していました。
集落道路であったであろう道は完全に夏草の海に埋もれておりました。
ここは一度晩秋に訪れてみたいところですね。
・・・ぷーさん怖いな・・・。
夏草が襲ってくるぅぅぅうううう!!!
真夏の藪は容赦なく道を取り込もうと攻め込んできています。
こういう所ではハチが怖い。
そそくさと通りすぎます。
僕はミイラよりも腹痛を選びます!!!
※山の水は人が飲むのに適した水ばかりではありません。
山で生水を飲むのはタブーの一つですので、絶対に真似しないでください。
どうしてもという場合は(遭難、避難など)、煮沸してから飲むのをお勧めします。
・・・自分の計画の甘さがつくづく嫌になる・・・。
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