草津川隧道

天井川

上流からの土砂の流出が川床に溜まり、川の高さが上がりまるで土手の上を川が流れているかのように見える地形。
生活地域より高いところを川が流れているので、ひとたび洪水となればその猛威は通常の川以上のものとなり、滋賀県の人たちを苦しめました。
さらに川のあるところに土手がある状態となっているので、平地に長く伸びる堤となったそれは、道を造る上でもこの上なく厄介な存在でした。
当ブログでも百瀬川隧道を取り上げています。

そこで滋賀県の人たちは考えました。

そうだ、穴を掘ろう


川床の下に隧道を掘ることで、交通不便を解消したのです。
そんな天井川に掘られた隧道の中でも、今回紹介するのは最も有名な物件です。
しかし・・・、遅かった・・・。
このブログでは珍しい都会の光景!
それもそのはず、この隧道が有名になったのはひとえにこの隧道が掘られた道が有名だから。
天下の東海道を踏襲するその道は鈴鹿峠以来の登場です。

国道1号

超大物です。
これは気合入れなければ。
山道の運転は慣れてるけど、都会の運転は緊張するんだよ!

滋賀県草津市(くさつし)

67.8㎡と小さい面積ながら、滋賀県下2番目の人口を有する市です。
人口密度は7090人/㎡に達し、大津市や政令指定都市である新潟市や熊本市をも凌ぎます。
さらに住みやすい街ランキングでは2013,2014年と2年連続で近畿ブロックトップ、滋賀県内の駅乗降者数は、市域にある草津駅、南草津駅が1,2フィニッシュでトップ独占です。

敦賀体と最も遠い地域の滋賀県の自治体なので、あまり印象が無いんですが・・・。
実はすごい街だったんですね。

唐突!!!

天井川を知らなければ、突然目の前に壁が現れたかと錯覚しそうな光景です。
そしてそこを穿つ隧道。
右の反対車線のボックスカルバートは置いておいたとして・・・。
こちらの車線の隧道はやたら凝ってる!!

草津川隧道(くさつがわずいどう)

一説によると、日本最古のボックスカルバート隧道とも呼ばれるこの草津川隧道。
土木学会選近代土木遺産Bランクを与えられています。
何せこんななりして昭和11年竣工、戦前から国道1号という大動脈を通し続けてきたのです。

そもそも天井川の代名詞的な存在となっている草津川。
その名を冠す隧道ということで、この隧道の名も全国区となっています。
もともとは対面交通を想定して作られたであろう草津川隧道ですが、現在は両方とも上り線として使われています。
下り線には3代目草津川トンネルが通され、その交通を担っています。

・・・3代目??

昭和11年竣工のこの隧道・・・、実は2代目。

初代はどうなった???

もともと国道1号は東海道を踏襲した路線です。
しかし全く同じ位置を通っているわけではありません。

初代は旧東海道に存在している!!

(後の情報で初代はこの先で合流する中山道(なかせんどう)の隧道だったと判明しました。
恥ずかしながらまったく疑いなく東海道と誇張しちゃいました!
恥を晒しておきますので、ご容赦ください。
よしみやさん、ありがとうございました!)

けっこう迷子だった・・・(汗)

これだから都会の探索は苦手なんだ!!
しかしようやく到着してもそこにあったのは・・・。

遅かったか・・・。

いや、知ってはいたんですけどね。
改修されてるってことくらい。
でもやっぱり目の当たりにすると・・・、ねぇ。

味も素っ気もねえ!!

草津川隧道とは言いつつも、この隧道上に川はありません。
旧草津川という呼ばれ方をしていますが、河川整理によってこの南東側に川自体が移動しているのです。
そうなってくると当然、新たな計画が出てきます。
ここが東海道であることを示す案内板。
この辺りは歴史地区として、今まさに区画整理の真っ最中。
それに伴ってついに恐れていたことが起きてしまうようです。

2代目草津川隧道の撤去および旧草津川の公園化工事

普段ならじっくり見る石碑も、そのことを聞いてから切なくなっちゃってあまり見てる余裕もありませんでした。
しかし通っている道が国道1号だったことによる悲劇。
他ならまだまだ現役で行けたんじゃないでしょうか?
まぁ草津川の下という特殊性が大きいでしょうが・・・。
英語で書かれた観光案内図。
つまり国際的にこの地を観光地としたいという意思の表れです。

・・・それならむしろ初代の煉瓦隧道は残しておいた方がよかったんじゃないの??
市道扱いでしょ??
そしてここは街道としても重要なポイントでした。

草津追分(くさつおいわけ)

東海道と中山道の交差点。
そこに花を添える隧道だったはずなのに・・・。
なんでよりにもよってボックスカルバートやねんと。
煉瓦の老朽化なら、もっぺん新しい煉瓦を使って作り直すくらいの気概を見せんかい!!

・・・ちょっと怒りがわいてきてしまった・・・。
be cool・・・
ここに初代草津川隧道があったという生き証人である扁額。
今のこの姿を見て彼がどう思うのか。
それは誰にもわかりません。
しかし先達の想いを大切にして、まちづくりをしていってほしいと願っています。
なんか湿っぽくなっちゃった・・・。

以上、草津川隧道編

この道往けば act2

福井県を中心とした。酷道、廃道、旧道、峠、隧道の探索ブログ

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