塩汲峠

今回紹介するのは福井県内に数ある峠の中で最も西に位置するもの。

古くは若狭国と丹後国を隔てていた峠。

塩汲峠(しおくみとうげ)

福井県最西端の峠の意外な姿をご覧ください!

福井県大飯郡高浜町(たかはまちょう)

こちらも福井県最西端の自治体です。

写真中央の大きな道は国道27号

そして僕が目指す峠へは、交差点を右奥に進みます。

福井県道149号音海中津海線

(おとみなかつみせん)

この県道149号は終点の音海集落で行き止まりとなるピストン県道。

塩汲峠には至りません。

しばらくして別の県道に連絡するのですが、・・・ここに重要な秘密が隠されているのです・・・。

写真中央の目立つ山容の山があります。

高浜町のランドマークともなっているこの山は・・・、

青葉山(あおばやま)

標高693mの低山ですが、古来から修験道者の山として知られていまして、北の比叡山とも呼ばれた隠れた名山です。

「若狭富士」の別名でも呼ばれるこの山ですが、実は双耳峰でして、他府県から見るとそこまできれいな形じゃないという秘密があったりします。

あれ?言っちゃだめだった??

音海半島東岸を正確にトレースする県道149号。

このまま半島に点在する集落を縫いながら、終点音海集落を目指します。

しかしここで、別の県道が合流してきます。

京都府道・福井県道21号舞鶴野原港高浜線

塩汲峠に至る為にはこちらに乗り換えねばなりません。

ちなみに先に断っておきますが・・・、この道も直接塩汲峠に至るわけではありません。

あくまでアクセス!

塩汲峠は案外遠いのです。

ここから道はダンノ鼻と呼ばれる岬をショートカットする為、山道区間に突入です。

このブログではおなじみになってきた道路情報板。

土砂崩れは通行注意でいいんですか?

早急な対策をお願いしたい!

とはいっても片側1車線の立派な山道。

走りにくいことは全くありません。


この腐道21号は舞鶴市内に2ヶ所の分断区間を抱えています。

この分断区間に挟まれた区間もなかなかやってくれる状況になっているようなので、別途レポしてます!

そうこうしているうちに無名峠に着。

便宜上「神野峠(こうのとうげ・地名より)」と呼ばせていただきます。

しかし街道筋の線形をよく残す、峠らしい峠でした。


もしかしたら昔はちゃんとした名前があったのかもしれないですね。

峠が死ぬ理由は今も昔も2つだけ。

人通りが無くなるか。
峠と認識されなくなるか。

どちらもさみしいものです。

峠の両側で標高が著しく変化する峠を片峠と呼びますが、この神野峠はまさに典型的な片峠です。

舞鶴側は標高が高いので、峠すぐ近くまで集落が広がっていました。

峠を越えてもまだ山道区間は続きます。

神野峠は半島型峠、半島の東岸と西岸を隔てる峠なのに対し、塩汲峠は丹波高地を越える峰越え峠。

海岸線まで険しい地形が伸びる地域ではよくこの手の連続峠が見られます。

つまり直接、峠に至るわけではありませんが、この山道はすでに塩汲峠の峠道に差し掛かっていると言えます。

県道21号の利用者にとっては無駄に標高あげて、無駄に降りてくるという無駄だらけのルーティングですが。

まぁ京都へのアクセスと海岸線の地形も加味したルーティングでしょうがね。

突然、最近作られたであろう新道区間が現れました。

これはこの道の重要度を物語るものです。


こんな先が分断した県道にそれほどの重要度があるのか??

そんな疑問はもっともです。

しかしこれこそ眠っている真実を見つける鍵となるのです!(大袈裟)

僕の拙い文章力と撮影技術ではとても伝えきることなど不可能ですが・・・、

この冬の夕暮れの海にはとても心を揺さぶられました。

まさに「哀愁」を感じる景色。

わけもなくさびしく不安になる、そんな切なさを秘めた絶景です。

そして遂に!

塩汲峠、着。

標高154m、消して高くない峠ではありますが、馬背峠などと同じく海岸から峠道が始まるので標高以上に険しく感じる峠です。

古来には若狭湾の海水で製塩した塩を担いで越えた峠だったことから、その名がついたとの由来があります。

この峠は現在でも福井県と京都府の県境になっています。

峠の向こうは京都北部最大の都市である舞鶴市。


しかしここで一つの疑問が・・・。

県道21号は塩汲峠には至らないんじゃなかったの???

その理由は至って明快。

県道21号は塩汲峠直前で、

唐突に向きを変えているから。

写真では手前から右奥に向かっている道が県道21号なのです。

では道なりに見える左奥の塩汲峠への道は何なのか?


福井県道・京都府道772号高浜舞鶴線

(たかはままいづるせん)

福井県道では例外中の例外である(2つしかない)700番台の県道ナンバーを持つこの県道。

京都府道との越県共通番号の為、原則200番台までしかない福井県道の中で異色を放つ道となっています。


しかしなにより珍しいのがこの県道、

県内の単独指定区間が100mに満たないのです!

撮影地点は峠直上、つまり県境です。

福井県道772号の単独指定区間は、ここから交差点までの50m強のみ!


マニアの間では「幻の福井県道」としてしられるこの県道772号。

では単独ではない指定区間はどこまでなのか。

それは実は・・・、

ここ!

つまり県道149号→県道21号→県道772号と無駄に県道を乗り継いでいたように見えた今回の旅ですが、その実は福井県道772号を起点から終点に向けて走る旅だったのです!


この一見平凡な中寄交差点は「福井県道149号の終点」と「福井県道772号の起点」を兼ねている、なかなかやり手な交差点だったとういうことがわかります。

さらに途中で県道149号と県道21号が重複していた区間は、実は772号も重複していたので、3本もの県道が重複している県内でも珍しい区間だったのです!

国道と県道2本ていう重複はままありますが、県道だけで3本は意外と珍しい・・・。

さて下りに入ると若干山道度がアップします。

もしかしたら海が見えないということで心理的にそう感じているだけかもしれませんが・・・。

写真のようなヘアピンかープをいくつか重ねて、じわじわ標高を下ろしていきます。

基本的に勾配は緩やかな峠道。

その分、距離をかけて登っているという印象があります。

塩汲峠は、押しも押されぬ本街道の峠である吉坂峠の迂回路として利用されてきた経緯があるので、多少遠周りもいた仕方なしということでしょうか。

長かった峠道もいよいよ終わりに差し掛かってきました。

ここはもう舞鶴市の住宅街。

終点である国道27号まではあと少しです。

起点も終点も同じ国道という、迂回用県道、集落連絡用県道という性格がよく出ているルーティングです。

だいぶ薄暗くなって見にくくなってますが、写真には築堤が写っています。

府道772号は築堤の下を暗橋でくぐっていますが、その上には古くから見てくれている人には懐かしい名前が・・・。


そうJR小浜線

黒河峠編馬坂峠編福井県道210号編など敦賀市南部を取り扱ったレポではことごとく友情出演してくれた小浜線。

まさかの京都の地でも友情出演です!

お前って奴は・・・!!

国道27号に再びぶつかって府道772号は終点。

右が天橋立方面、左が福井県、吉坂峠方面です。


さて僕はこの日、鳥取県に向かう途中にさらにネタの収集に努めました。

しかしいかんせん夜。

満足のいくレポが出来るかどうか。

次回は初の夜レポにチャレンジです!


以上、塩汲峠編

この道往けば act2

福井県を中心とした。酷道、廃道、旧道、峠、隧道の探索ブログ

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