福井県道35号久坂中ノ畑小浜線 後編

中編最後の集落の名前は下根来(しもねごり)といいます。

大概、「上○○」と「下○○」という地名は連続しているように感じますが、ここでは「中ノ畑」という別の集落をはさんでいます。

こういう現象は案外、全国的にあったりします。


理由は様々ですが、ここの理由は至って明快。

もともと上根来と中ノ畑は同じ、上根来村だったのです。

江戸時代後期には中ノ畑が分離したそうですが、名前はそのまま。

川下から下根来、中ノ畑、上根来となったようですね。


結局は明治22年には仲良く遠敷郡遠敷村(おにゅうぐんおにゅうむら)の一部となりました。

そして昭和26年に小浜市の一部となり現在に至ります。

県道沿いには神社があります。

下根来八幡神社(はちまんじんじゃ)

全国にたくさんある八幡神社の一角ですが、ここには有名な神事があります。

小浜市の有名な神事である「お水送り」、その神事の始まりがここで行われる「山八神事」です。

お神酒を赤土に混ぜたものを境内の柱に「山」と「八」という字に塗りつけるというもの。

この後、「お水送り」は神宮寺の「弓打神事」へと続いていきます。

道は一気に勾配を落ち着かせて、なだらかに海へ向かいます。

しかし気持ちの良い道ですね。

夏の午後には(クーラーの効いた車内か川遊びしてれば)最高です。

ここが鯖街道だと主張する法面。

写真では見にくいですが、

「今日は遠ても十八里」

イラストの横にそんな言葉が書かれていました。

鯖を運んだ人々が口にしていた言葉だそうです。

18里ということは72km、鯖を背負って72km・・・。

若狭町にある海浜自然センターというところで、当時の人々が運んだ天秤棒の重さを体験できるコーナーがあるのですが、実にこれが20kg以上あるのです。

これを担いで72km・・・、

化けもんか

昔の人ってすげえ・・・

明らかに低くなる山裾。

途中には味のある橋もかかっていて、雰囲気抜群です。

林道上根来線が復旧したらまたじっくり来たいなぁ。

こちら側にはこの先の狭路の為、最終転回場が用意されています。

ただし手前の駐車場と紛らわしいので、ご注意を。

そしてここがお水送りの河原。

鵜の瀬(うのせ)

ここから送られた水は10日間を経て、東大寺二月堂の若狭井より湧き出すといわれています。

このお水をとるのが3月12日のお水取り。

関西の人にはこちらの方がなじみ深いかもしれませんね。

お水送りは3月2日、例年雪が降りしきる中行われる幻想的な神事です。

ぜひこちらにも足をお運びください!

遠敷川が遠のき、田園が広がってきました。

ここは丁度、小浜平野の辺縁に位置します。


ちなみにこの部分には旧道がありますよ。

右側に見えるガードレールがそれです。

あまり見どころはありませんが・・・。

そしてこちらが先ほど八幡神社の写真でお話しした神宮寺。

ここではお水送りの前の神事、「弓打神事」が行われます。

元弓道部員としては一度参加してみたいものです。


小浜市は若狭の小京都と呼ばれるほど寺院が多い町です。

国宝有する明通寺を筆頭に130以上の寺院があります。

ゆっくり回ってみたいもんですね。

ここまでで最大の交差点。

これまで出そうで出なかったこの道の登場です。

広域農道若狭西街道(わかさにしかいどう)

正直僕は若狭地域への仕事で、この道に何度お世話になったかわかりません。

先日、舞鶴若狭自動車道が開通するまで、この道と若狭梅街道とを乗り継ぐと国道27号を使わずに高浜まで行くことができるのはかなり重宝されました。

今でも下道ではかなり利用価値の高い道です。

もう完全に田園風景。

最初の山深さが嘘のようです。

左手の施設は森の水PR館という森林組合の施設。

ここでイベントやったなぁ・・・。

写真撮ってたら後ろの車にクラクション鳴らされて焦っちゃった・・・。

ハザード焚いて端っこ寄ってたのに・・・。

何が撮りたかったかというと、この奥にある神社。

若狭彦神社(わかさひこじんじゃ)

若狭の国一の宮で、旧社格は国幣中社、そして明神大社の一つとされています。


先ほどから名前の挙がっている「お水送り」は修二会(仏教の法会の一つ)に招かれた若狭明神が、漁が忙しく遅刻したことを詫びる為始まったとされています。

遅刻から始まったのか・・・、お水送り・・・(笑。

こういう歴史は結構好きです。

少しずつ田園風景も終わりを告げます。

ここはもう小浜市街地の一部と言って過言ではないでしょう。

こうなれば残る区間はもう少し。

県道の終点付近に鎮座するのが、後編のお水送りロードの締めとなる神社です。

若狭姫神社(わかさひめじんじゃ)

名前からわかるとおり、若狭彦神社とは上社と下社の関係にあるこの神社。

こちらは下社となります。


しかし現在ほとんどの祭事はこちらの若狭姫神社で行われており、神職もこちらにのみ常駐しているとのこと。

アクセスの問題か?

ちなみに若狭彦神社は畳、敷物の神とされインテリア関係者に人気だそうです。

若狭姫神社は安産、子育ての神だそうで、不妊治療をされている方は遠方から来る人も多いんだそうです。

そして国道27号にぶつかりトータル5回にわたった探索は終了。

なかなか味のある道で楽しめました。

今度はおおい町側も行ってみなきゃな。

真の端点も確認できていないので、まだまだ上根来に来る機会はありそうです。


以上、福井県道35号久坂中ノ畑小浜線編

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