油坂峠 前編
福井の越境峠を3つ挙げなさい。
こんな問いに皆さんはどうこたえるでしょうか?
栃ノ木峠、堀越峠、新道野越、大内峠、有名どころはたくさんあります。
しかし僕はあえてこの3つを挙げたい。
温見峠
冠山峠
油坂峠
全て岐阜に抜ける嶺北の峠、嶺南の者としては一種の憧憬があるかもしれません。
しかしこの3つの峠は道の格、標高、重要性、歴史、その全てを兼ね備えた三大巨頭と言えます。
今回はその中でも現在最も重要性が高い道路が通過する峠をご紹介したいと思います。
それは高規格幹線道路。
平たく言えば料金が発生しない自動車専用道路、いわゆるB路線と言われるものです。
ここまで言えば、上記のどの峠かわかるでしょう。
油坂峠(あぶらさかとうげ)
いざ、レポ開始!!
ここがレポのスタートとなる交差点。
現在走っているのは国道156号。
かつては語呂合わせで「イチコロ」などと呼ばれた道ですが、白川郷が世界遺産となったこともあり、道路は日々改良されています。
起点を岐阜県岐阜市、終点を富山県高岡市とするこの道、ちょっと日本地図を開いてみたらこのルート設定、どんなけ冒険してるかがよくわかります。
何せ両白山地と飛騨高地のわずかな隙間を縫うようにして指定されているのですから。
ここもいずれ行ってみたい場所の一つです。
おっと話がそれました。
肝心の油坂峠への道はここを左です。
今回探索区間の地図をご覧ください。
中部縦貫道はいくつかの区間に分けて名前が付けられています。
当該区間の名前は油坂峠道路。
中部縦貫道の中では安房峠道路に次ぐ難所として2番目に工事が開始されたため、昭和62年には供用が開始されています。
油坂峠道路は高速ではないため、国道158号として工事が進めらています。
つまりこれから走る道も国道158号、その横の強烈な存在感の道も国道158号ということになります。
ループと陸橋、隧道を組み合わせた現代工学の粋。
圧巻です。
それに引きかえこっちは・・・
いえいえ、僕はこっちの方が性に合ってますよ。
交差点からしばらくは国道指定が外されているので、現在では旧道となっています。
もちろん現役ですが。
しかし渋い橋・・・。
そう。
この先この道は油坂峠道路に接続します。
まぁここから入る人はほとんどいないレアケースでしょうが、間違っては入っちゃうと厄介なことは確かですからね。
今でもたまにあるよね、こんな国道。
しかしさすがに100番台。
ここは旧道です。
しかし旧道区間は地図で見る通り、それほど長くはありません。
ここで大きな道と合流します。
これが現在の国道158号。
中部縦貫道の建設に伴って拡幅されたのでしょう。
かつては全線にわたって、これまでの旧道レベルの道だったと考えられます。
そしてここからは大野市街に入るまで、国道158号とのお付き合いが始まります。
長い長いお付き合いですよ・・・。
この区間は中部縦貫道白鳥西インターチェンジへのアクセス路ということになっています。
この点は高速道路同じ扱いですね。
ここから先が本来の油坂峠への道。
等身大の国道158号です。
ある意味ここからが本番。
さぁ行こう!!
もう完全に飛んでるよね、ある意味。
なんか銃と竹やりな気分ですよ。
いや、この切なさがまた堪らんのですけどね。
同じ道なんだよなぁ・・・。
峠道として決して悪い規格ではない国道158号。
しかし高規格幹線道路として、このレベルは許されなかったのでしょう。
指定されたがための旧道落ち。
何とも切ないですね・・・。
山側と崖側が頻繁に入れ替わっているのは、大きな九十九折れで標高を稼いでいるから。
現状では標高の半分ほどしか稼いでいませんが、すでに周りの景色は眼下に広がっています。
ここは今も現役の国道。
それを思い出させてくれるように青看板と電光掲示板が迎えてくれました。
というか、意外とこの道、通行料多いんですよね。
あんな立派な道があるのになぜなのか?
接続の問題か??
それともやっぱマニアが多いのか??
足元には油坂第3トンネルがぶち抜かれているようです。
大体2ステージに分けることができる岐阜側の峠道、ここでやっと中間くらいです。
地図で見るとここまでにトンネルがあることになっていたのですが、発見できませんでした。
現役の道で通過する隧道を発見できなかったとなったら、廃業以前に体どっか具合悪いのかという話になっちゃいますが、それには理由があるのです。
言い訳しますと・・・、
ボックスカルバートにしか見えなかったんですよ!!
アレを隧道というのか・・・。
まだまだ深いな・・・、この世界・・・。
ちなみに名前は、
油坂スキー場隧道
(あぶらさかスキーじょうずいどう)
隧道の上にゲレンデがあるというなかなか面白い立地のスキー場ですが、2004年に惜しまれつつ閉鎖されました。
これは開削あるかもね・・・。
峠が近づく第2ステージではセンターラインが無くなりました。
いよいよ福井有数の国道峠の本領発揮と言ったところでしょうか?
個人的な感想ですが、油坂峠で一番印象に残っているのがこのしだれ桜。
標高が高いためか、5月初旬にもかかわらずまだ花が残っていました。
夕暮れも近いこの時間、何とも切ない光景です。
そういえばこの峠、怪談の舞台としても有名なんです。
僕は好きだけど、夜桜って不気味な魅力ありますよね。
ああ、これは来るな。
来る線形ですよ。
勾配の変化なく山側に食い込むように曲がるカーブ。
これは完全に来る光景!
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